
二季化に負けない
セルフケアのヒント
大美賀先生インタビュー
2025.12.24
#インタビュー
最近、「なんだか体がだるい」「気持ちが落ち着かない」と感じることはありませんか?
今の日本は、かつての四季がはっきり分かれていた頃と比べ、夏と冬が長くなる「二季化」が進んでいるといわれています。気温や湿度が短期間で大きく変化することが増え、季節の移り変わりがとても急に感じられるようになっています…。
さらに、年末年始は仕事や家事で忙しい方が多く、心身の調子を崩したり、集中力が落ちたりしやすい時期でもあります。
そんな体調を崩しやすい時期こそ、“ちゃんと休む”ことが大切!
今回は、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子先生に、季節の変わり目をおだやかに乗り切るためのヒントを聞きました。
季節の変わり目に起こりがちな“なんとなく不調”
そもそも、どうして季節の変わり目に体調を崩しやすいのでしょうか?
大美賀先生によると、私たちの体調を管理している「自律神経」がカギになっているのだそう。

「暑すぎたり寒すぎたりするのって、実は私たちが思っている以上に、体にかなりの負担をかけているんです。特に自律神経は、こういう外部からの大きな影響があると、とてもバランスを崩しやすくなります。私たちの体は、神経系、免疫系、内分泌系(ホルモン)という三つのシステムが協力して体調をキープしてくれているのですが、自律神経が乱れると、免疫系にも影響が出てしまいます。すると、風邪をひきやすくなったりインフルエンザにかかりやすくなったりと、体調を崩しやすい状態になるんです」
さらに近年進む二季化が、体への負担をより大きくしているのだそう…。
「本来、春や秋は、じっくりと体を気候の変化に慣らす準備期間でした。しかし今では、夏の疲れを引きずったまま冬の寒さという新たなストレスにさらされるなど、ゆとりのない状態が続くようになっています。それに、寒さが本格的になってくる12月は年末に向けて仕事の納期に追われたり、大掃除や帰省の準備をしたりなど、心理的なストレスも増えてくる時期です。こうした忙しさも、季節の変化と同じように自律神経に大きな負担をかけるんです」
このように、気候の変化と忙しさのストレスが複合的に重なることで、私たちは体調を崩しやすくなるのです。
さらに体調の波は、心にも影響を与えると続けます。
「東洋医学に『心身一如(しんしんいちにょ)』という言葉があるように、心と体はつながっています。だから、気候の変動によって体調が乱れてくると、心の状態も不安定になってくるものなんです」
普段なら乗り越えられる仕事のストレスや人に言われた言葉が、なんだかすごく疲れる原因になったり、悪く受け取ってしまったり…。こうした心の不調も、季節の変わり目には、特に感じやすくなるようです。
そのため大美賀先生は、心のサインに気づくことの大切さを強調します。
「なんだか気になることが増えたり、いつもより疲れやすかったり、元気が出ないなと感じたら、それは心が不安定になっているサインかもしれません。そんなときこそ、ちょっと立ち止まって何かを変えてみる良いタイミングです」
季節の変わり目を乗り切るコツ
では、こうした不調をととのえるためには、どのような方法が有効なのでしょうか?
まず、寒暖差への対策として「3首(首、手首、足首)」を温めることが有効とのこと!

「マフラーやリストウォーマー、レッグウォーマーなどを活用し、急な寒さから体を守りましょう。私も、寒くなると常備するようにしています。また、12月は日の出から日の入りまでの時間が短く、太陽の恩恵を受ける時間が限られているため、気分を安定させ、心身のバランスをととのえる働きがあるセロトニン神経が活性化しにくい時期です。そのため意識的に外に出たり、窓辺で過ごしたりして、日の光を浴びることも大切です」
加えて自分の心や体の声を聞き、「短くてもこまめに休む時間をつくること」も大切です!

「休憩は、3分や5分といった短い時間で構いません。大切なのは、その短い時間で心身を緊張させているものから解放し、副交感神経を優位にさせること。ベルトを緩めたり、ジャケットを脱いだり髪を束ねている方は、ゴムやバレッタなどを外してみるのも良いかもしれません。また、ハーブティーなどのリフレッシュできる飲み物を飲んだり、ふわふわしたクッションを抱いたりするだけでも、リラックスできます。ついついスマホを見てしまう方もいると思いますが、しっかり休むためには情報から距離を取ることも大切です」
また、自律神経をととのえるためには、呼吸に意識を向けることもポイント!
「マインドフルネスという言葉で表現されることもありますが、呼吸だけに意識を集中させることで、頭の中でグルグルとネガティブに走り始めた思考から、距離を取ることができます。呼吸は、私たちが自覚的に自律神経をととのえることができる、貴重な手段でもあるんです」
自分なりの“ルーティン”で心身をととのえる
季節の変化は、体調不良の原因になるなどネガティブに捉えられることもあります。でも、生活によい刺激を与えてくれることも忘れてはいけません。
「季節の変わり目って実は楽しいもので、マンネリ化した生活に彩りを与えてくれるものですよね。季節ごとの食事やファッション、インテリアなどを楽しむ心を持つことで、日々の生活によい刺激を与えてくれます。ただし、楽しむ気持ちを持つと同時に、心身に負荷がかかりやすいのは事実です。セルフメンテナンスや休憩をセットで考えるという『両輪』の発想を持ちましょう」
また、季節の変化に限らず、年間を通して心身をととのえるためには、自分なりの「ルーティン(習慣)」を持つのが良いそうです!
「例えば、毎朝10分ほどストレッチやウォーキングを行ったり、スマホを見ずにあえて何もしない時間をつくったりするなど、何らかのルーティンを持つことで心身をととのえやすくなります。私も、朝起きてすぐと、夜寝る前に10分ずつ、ヨガとハーブティーをルーティンにしています。こうした習慣があることで、心身の変化に気づきやすくなり、早期の休憩につながります」

夏と冬が長引く時代に、心身の調子はより崩れやすくなっています。だからこそ、その変化を合図にひといきつく習慣を持てば、心も体もゆるやかにととのっていきます。
自分を大切にする「こまめな休憩」や「リズムのある生活習慣」を取り入れ、次の季節を、少し軽やかな自分で迎えてみませんか。








