「お昼寝」が 仕事の成果を変える?
ちょっとひといき展#4
2026.2.5
#呼吸と休憩
#インタビュー
『ちょっと、ひといき展』レポートの第4弾では、 「お昼寝と呼吸」をテーマにしたトークセッションの様子をお届けします! 登壇したのは、睡眠研究の専門家である 早稲田大学スポーツ科学学術院教授・西多昌規先生。 そして、世界の舞台で活躍する 女子レスリング・須﨑優衣選手。 いい仕事は、いい休憩から。 研究と実践、異なるお二人の視点から語られた お昼寝や呼吸が、いいパフォーマンスを支える理由とは——? 午後の集中やリラックスに役立つ、お昼寝と呼吸のヒントをレポートします。
お昼寝が、午後のパフォーマンスを上げる?
トークセッションの冒頭では、「お昼寝」と「夜の睡眠」の違いについて西多先生から解説がありました。
西多先生「夜の睡眠には、ノンレム睡眠(浅い睡眠も深い睡眠も含む)とレム睡眠(夢を見る、脳は活性化している状態の睡眠)を行き来するサイクルがあります。一方で、お昼寝は、レム睡眠で終わるのが理想です。深い眠りまで入ってしまうと、起きた時にぼんやりとしてしまうので、仕事の合間にはあまり向きません。お昼寝は睡眠不足を補うものというより、午後のパフォーマンスを高めるためのものと考えてみてください」 夜の睡眠は8時間が目安とされていますが、もちろん、個人差や年齢差はあるようです。 それでも「十分な睡眠時間が必要」という観点は、多くの専門家の共通認識とのこと。 須﨑選手「日頃から、十分な睡眠をとることを心がけています。基本は10時間睡眠ですね。8時間しか眠れなかった日は2時間のお昼寝、9時間眠れた日は1時間のお昼寝、という感じです。10時間しっかり眠れると、午後の練習の質が上がるのを実感します。お昼寝のときにもパジャマに着替えるようにしています」
このエピソードには、会場からも思わず驚きの声があがりました! 西多先生「これはアスリートならではの習慣ですね。ハードなトレーニングをしている分、長時間の睡眠が必要だということが明らかになっています」 須﨑選手「練習量が多いタイプなのですが、睡眠時間を十分に確保できているからこそこなせていると、トレーナーさんにも言われています」 トップアスリートにとって、睡眠やお昼寝はまさにトレーニングの一部。 一方で、ビジネスパーソンにおすすめなのは、13~15時頃の間にとる10~20分ほどの短いお昼寝だそう。 西多先生「仕事中はパジャマに着替えるわけにはいきませんよね。ネクタイをゆるめたり、ボタンを外したりと、できる範囲でリラックスした格好を心がけてみてください。それだけでも睡眠の質は変わります」
リラックスのカギは「呼吸」にあり
続いてのテーマは「呼吸」。 普段は無意識にしている「呼吸」ですが、実は心とからだに大きな影響を与えているそうです。
西多先生「不安や緊張があると、呼吸は浅く速くなります。心とからだを落ち着かせるためには、深くゆっくりとした呼吸を意識しましょう。猫背になると呼吸が浅くなってしまうので、まずは須﨑選手のようにピンと背筋を伸ばす。そして、吸うよりも吐く時間を長くするのがポイント。自立神経を意識的に整えるのは難しいですが、呼吸は唯一、意図的に自分自身を整えられるアクションなんです」 須﨑選手も日頃から「呼吸」を意識しているようです。 須﨑選手「腹式呼吸を意識すると、トレーニング効率が上がります。試合で緊張しているときも、マットに上がったら一度大きな深呼吸をしていますね。普段もレスリングのことを考えていると呼吸が浅くなりがちなので、気づいたときに、ゆっくりと呼吸を整えるようにしています」
呼吸で気持ちを整えることは、緊張をほどくだけでなく、思考に影響することも。リラックスとアイデアの関係について、西多先生に伺いました。 西多先生「ゆっくりと吐く呼吸を意識すると、副交感神経が優位になり、からだはリラックスモードになります。すると、日頃つながっていない脳内の神経細胞がつながる——といった話もあります。リラックスしているときにポッと良いアイデアが生まれることもあるかもしれません」
職場でも「休みやすい環境」作りを
最後に、西多先生にすぐに実践できる上手な休み方について伺いました。 西多先生「睡眠には個人差があります。目覚めた時に『休めた』と感じられているかどうか、主観的な感覚が大切です。適度な運動をする、睡眠前の食事や寝酒を避けるなど、基本的なことを意識してみてください。それから、あまり睡眠にこだわりすぎないことも大切です」 さらに、個人の工夫だけでなく、企業による環境作りの重要性についても語られました。 西多先生「仕事中の効果的な休憩は、個人任せでは限界があります。仮眠スペースの設置など、休みやすい環境を整えることも大切ですね。
お昼寝や呼吸を整えることは、ただ立ち止まることではなく、 パフォーマンスを高めるための大切なアクション。 科学と実践の両面から“いい休み方”を知ることで、 休憩はもっと前向きな選択肢に変わる。 そんなことを感じさせてくれるトークセッションでした。